「少年時代」ロバート・R・マキャモン

最近ようやっとマンガにまた手をつけ始めたんですが、キャラクターの顔が変わっちゃって困ります。あと最近ポルトが勝ったんでテンション上がり気味です。まだだ!まだまだおわらんよ!


そしてまた感想有難うございます。とっても嬉しいです

>チンカーさん

サイダーハウスルールは映画も原作も見てません…。

そうそう、ハビエル・バルデムですね。凄い体重落として挑んだとかで、気合いが感じられます。スペインの俳優さんて味がある人多いですね。この人は夜になるまえにより海を飛ぶ夢でのほうがティルっぽく感じました。ふ、老け役だからかしら…。

ジョニーデップちょい役ですが存在感ありましたね。ちょっと笑いましたが。


あんまり褒めると照れるので勘弁してください。ユーモアのセンスは常々欲しいと思うんですがこればっかはどうにもなりません…私には無いですよ多分、ほんとに。アレナスとかアーヴィングとか、こういう文章書く人のさりげなくシモ系なwユーモアが好きです。

本当に本が好きなのか見る目が無いのか、どの本も私には素晴らしく思えてなりません。大ハズレっていうのに当たったこと無いです。日本の作家さんに疎いのが寂しいので、もっと読みたいです。


さて今回の「少年時代」、姉の勧めで図書館で借りて読みました。ハードカバーで上下2巻。ですがそれを感じさせないスピードで読んでしまいました。とにかく面白い!そして泣ける!すげえ読書体験した気分でした。本当面白かった。


ストーリーはコーリーという少年を主人公にして進みます。1964年、舞台はアラバマ。これも章形式で、明確な一本軸の長編というわけではありませんが、最初に大きな謎が提示されて、それが最後に解決を見る、というドキドキもんの展開が盛り込まれています。


話の内容はまんま、子供時代に感じた恐怖や、憧れや、悲しみです。小さい頃、「こういうことが起こればいいのにな」と思いながらも、大半の人が遭遇できなかった出来事に、コーリーは出会っていきます。町に伝わる化け物の伝説、死んでしまった愛犬の復活、魔女とも言われるミステリアスな黒人の女性、西部の英雄、人格を持つ自転車。

でも出会っているコーリーはそれを、胸をどきどきさせながらも「おこり得る事」として受け止めています。

一つのストーリーの軸は、彼と彼の父親が湖に沈んでいく車の中に、殺された男を見たことが発端として始まります。コーリーの父はその夢を何度も何度も繰り返し見てしまい、どんどん弱っていきます。家族の間柄もおのずと気まずくなり、しまいには彼は仕事すらなくしてしまう。

でもこれは大きな話の軸で、小さな子供時代の感情がつまった話が沢山盛り込まれています。あんまり話すとネタバレになりますが、例えば、コーリーが自分が長く乗っていた自転車を壊してしまったときに、彼は凄いショックを受け、ばらばらになった自転車を見つめながら、「ああ、これは死んだんだ」って思うところがあります。

父親はまだ直るかもしれない、といったりしますが、コーリーにはわかっていて、しっかりと死を受け止めるんです、自転車の死を。

このシーンはいかにも、小さいときには何もかも自分の周りのものは生命を持っていると考えていて、それが実際に(少なくとも彼の中で)現実になったってシーンですね。こういう、現実にあるはず無いと思われることがおこっていて、それがいかにも身近に起こりそうに思えるぐらい自然に書かれているんで、すごくノスタルジックな、切なくてドキドキする気分にさせられるんです。


登場人物も一癖も二癖もありまして、何でも直してしまうけど信じられないぐらい動きの遅い黒人の男性とか、ビーチボーイズを悪魔の音楽と罵りまくる神父とか、かつて西部をまたに駆けた経験をもつじい様とか、本当に面白いです。

凄く暗い話もあるんですが、読後感は非常にすっきりして、本を置いて自転車で出かけたくなります。ちょっと奇跡というか、ありえない夢をみがちになってしまったり。


しかしこういう作品で不思議なのは、私はアメリカ人じゃないからコーリーとは環境も違うし、○○社のキャンディバーとかいったって知らないし、自転車で走り回ったこともないのですが、なんだか凄く、懐かしい気持ちになることですよね。少なくとも子供時代という面では国籍も環境も関係ないんだろうなあと思います。


しっかし、これにでてきた黄色い目がライトに浮かぶ自転車、欲しいなあ。自転車売り場をウロウロしながら、ああこういう自転車だったらマジで感情持ってるんじゃないだろうかとか、もうどうしようもないこと考えて欲しがっています。バカですがしょうがない。本当にまだ何か起こるんじゃないかと信じてるんですよ。


とにかく、本当に素晴らしいファンタジー+ホラー小説なんで、是非とも読んで欲しいです。最近新訳で文庫も出たらしいですし。絶対、昔の気持ちを思い出すし、まだ何か信じていいんじゃないか、という気持ちにさせられると思います。私も借りて読んだので、もって無いんですよ。購入予定であります。


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